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「お久しぶりです、汐美さん」 「久しぶり……って、 あれだけ毎日送りつけてもその感覚があるんだな」 「あはは、すみません」 祖母の家から十分ほど歩いた先。 昔は私もよく遊んだ広い公園が、小旅行二日めの汐美さんとの待ち合わせ場所だった。 そもそもこの辺りに用があると言う人は、 春物のシャツにしっかりネクタイを締めている。 「…そういえばお仕事でしたね」 「こういう格好のほうがやりやすいんだよ」 そんなことをあっさり言って立ちあがる手元に、 これもビジネス風の鞄と、 なぜか駅前の寿司屋の折詰がある。 焦げ茶の髪が日差しに光るのを見上げて、 私は首をかしげた。 「どんなお仕事か訊いていいですか」 「メディア系」 「え、嘘」 「会う度嘘つき呼ばわりするな。 まぁ、いわゆるフリーのライターだよ」 いや、見えないとは言ってない。 メディアの一語に、卒業されても記憶に強烈な先輩を思い出してしまっただけだ。 どちらも横宮さんが関わるから、余計に。 「じゃあお仕事って取材ですか?  …何かの噂調べとか?」 「へぇ、よくわかったね? 有名なのか?」 「………」 「……何だその反応は」
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