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長文を流し読みながら、
今度はわずかに苦笑する。
絡まりきったあの人との関係に、
さらり仲立ちを申し出た一言。
どうやら本気らしいと気づけば、
投げられた糸をひとまず結んでおきたくもなる。
困惑はすれど、
文面を追うまなざしはいつもの彼より緩んでいた。
それが、末尾近くまで来た時。
「……ん?」
かすかに眉が寄せられる。
開いたノートに眼を戻し、
再び携帯画面を見つめ。
何かを組み立てるようにしばらく静止して。
更に何かをためらうようにぎゅっと瞼を閉じてから、明良は結局それを打ちこんで返信した。
──返答は瞬きよりも、早かった。
☆
ひらり、とカーテンが揺れる。
5月の日差しを取りこむ窓の下、
ベッドの四角い日向の中に、
ちょんと紙片が落ちていた。
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