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同じ白い手が眼前の人をぐいと引く。 考える暇はなかった。 「待って!」 のばした手がシャツを掴む。 それでどうにかできるわけもなく、 昼さがりの川辺の景色はものの見事に暗転した。 背後に扉の閉まる音が響いて、 ──ああ、止めましたのに……。 口惜しそうなその声は、 多分私の耳だけに届いた。
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