前章

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「知ってる。連休の賑わいに困るモノたち相手に荒稼ぎでしょ? でも今年は残ってると思うのよ。 ほら、あの辺りお盆に使うじゃない?」 おかわりを淹れてやりながら、 横宮は小首をかしげて先を促す。 「だから、お盆の下見に行った黒猫が、 おじさんの祠がざわついてるって言うの。 きっと去年荒稼ぎしすぎて今年は止められたのよ……にしてもあなた鈍くなった? おじさんが言ってた通り」 もらえるものはもらいながら、 魔女を名乗る女性は末尾に問いを足す。 覗きこんでくる顔を、 訊かれた当人は見ていなかった。 今にも蝉が鳴きそうな日差しの庭を眺める。 何度となく、せがまれては一緒に歩いた相手を思い起こすようにそうして、 「………」 今いる客人に呼ばれるまで、 もの思うその顔は晴れなかった。 ☆ 畳の感触がとても良い。 ころころと堪能していたら、 廊下からおやまあと笑われた。 ふくふくした手に油揚げのお皿があって、 私はひょいと身を起こす。
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