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オレは慌ながらテントの外に出る。
暗いが、真っ暗というわけじゃない。周囲が見渡せる程度の明るさはある。朝が来たんだろう。
空からの土砂降り雨が、オレを叩きつける。一瞬、滝に打たれてる修行者を思い出しちまった。
足元を見ると、あれだけ広かった中州が……ない! オレたちのいるとこが、川の一部になっちまってる。
「大変だ!」
彼女と共に荷物を持って、岸の方に渡ろう思ったその時――
やたらと色の濃い、津波や雪崩みてーな濁流が、ものすげー勢いで、オレたちに襲い掛かってきた。
「うわあああぁーっ!!!」
「きゃあああぁーっ!!!」
オレたちは飲み込まれ、流されちまった。
流されたと気付いてからまもなく、寝る前みてーにまぶたが重たくなって、目の前が真っ暗になった。
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