竜宮キャノン

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 しばらく黙っていた乙姫の口が開く。 「貴方達」 「え?」 「はい?」 「中州でキャンプをしていたら、流されたんですってね」 「ええ……」 「まあ……」  不良っぽい印象を受ける二人だが、乙姫からのただならぬ気配を感じているのか、大人しくしている。 「中州という危険な場所でキャンプをする馬鹿、悪天候が予想されているのに川から離れない馬鹿は、お呼びでないのよ!」  きつい声で二人に向かって言う乙姫。一方、二人は黙りこくっている。 「ホオジロザメ! シャチ!」 「「はっ!」」 「この二人を竜宮キャノンに装填なさい! 発射して強制送還するのよ!」 「「かしこまりました!」」  ホオジロザメとシャチは、男女を広間の外に連れ出す。彼らのシャツをくわえながら。  彼らは「なにすんだ! このバカ!」「なにすんのよ! 離して!」という、わめき声を発したが、二匹はお構いなしだった。
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