川流れバカップル

7/11
前へ
/16ページ
次へ
 日が暮れた後。  キャンプ場にはオレら以外、誰もいない。  つまりオレと彼女の二人っきり。  なぜか知らねーが、日が暮れる前にみんな帰っちまった。日帰り客しかいなかったのか? まっ、どうでもいいか。  これで星が見えてたら……と思ったが、空には星が一つも見えない。曇ってんだな、きっと。  そういえば、天気予報で急な雨がどうのこうのと言ってたような気がするが、そんなこたぁなかったぜ。それよりも、空に出てたバカデカいチンコみてーな雲の方が気になったわ。  夕方から本格的な雨が降るようなこと言ってたが、まだ降っちゃいない。 「花火でもやるか」 「そうね」  オレが袋から手持ち花火を取り出し、付属のろうそくで火をつけようとしたその時―― 「あ、雨が降ってきた」  彼女が手のひらを上に向け、空を見上げながらつぶやいた。 「ホントだ」  彼女が言った通り、ぽつぽつと雨が降ってきた。  花火は中止だな。ついてねーぜ。  とりあえず、ろうそくの火を消そうと思ったが、すぐに雨脚が強くなったからか、火はすでに消えてた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加