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日が暮れた後。
キャンプ場にはオレら以外、誰もいない。
つまりオレと彼女の二人っきり。
なぜか知らねーが、日が暮れる前にみんな帰っちまった。日帰り客しかいなかったのか? まっ、どうでもいいか。
これで星が見えてたら……と思ったが、空には星が一つも見えない。曇ってんだな、きっと。
そういえば、天気予報で急な雨がどうのこうのと言ってたような気がするが、そんなこたぁなかったぜ。それよりも、空に出てたバカデカいチンコみてーな雲の方が気になったわ。
夕方から本格的な雨が降るようなこと言ってたが、まだ降っちゃいない。
「花火でもやるか」
「そうね」
オレが袋から手持ち花火を取り出し、付属のろうそくで火をつけようとしたその時――
「あ、雨が降ってきた」
彼女が手のひらを上に向け、空を見上げながらつぶやいた。
「ホントだ」
彼女が言った通り、ぽつぽつと雨が降ってきた。
花火は中止だな。ついてねーぜ。
とりあえず、ろうそくの火を消そうと思ったが、すぐに雨脚が強くなったからか、火はすでに消えてた。
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