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「シエルの好きなプリン買って帰ってくるから、いい子でお留守番してて」
「なんで!?なんでママは家から出れるのに私は駄目なの?!」
「前にも言ったでしょ?外は危ないの!」
「お守りがあるじゃん!」
「そ……そうだけど……」
なんだか歯切れの悪い口調のお母さんは、しゃがんで私と目線の高さを合わせた。
「そうだよね。もう、5歳だもんね。……今日、パパが帰って来たら、一度ちゃんと話そうか。なんでそのお守りを肌身離さずつけているのか…………なんで外が危ないのか」
「……うん」
でも、聞かなくても知ってるよ。
究極の過保護か、変な神様を崇めてるんでしょ?
「とりあえず行ってくるわね」
そう言って、玄関で立ち尽くす私を置いてこの家を出て行ったお母さんの足音が、だんだん遠くなっていく。
私が絶対に届かない高さに付けられている2つの鍵を睨み上げて叫んだ。
「あーー!!もーう怒った!」
口をパンパンに膨らませた私はリビングに向かった。
「普通、5歳の子供を1人でお留守番させる方が危ないでしょ!」
そしてリビングダイニングのお父さんの椅子に手をかけ、引きずるように玄関に移動させる。
玄関のドア側に椅子の背もたれがピタリとくっつくように置いてからよじ登った。
「今までいい子で留守番していたけど、鍵なんて頭を使ったらすぐに開けれるだから!」
椅子の上に立った私は、下側の鍵に手を伸ばしてすぐに鍵を開けた。
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