8540人が本棚に入れています
本棚に追加
そのおかしな点というのは――
家にスマホや電話、テレビなど、外から入る情報が一切無い事。
そして私だけが家から一歩も出させてもらえない事だ。
もちろん話せるようになってからは、外に出たいと何度か言った。でも、適当に濁されてしまうだけで叶わなかった。
そして最後は、もうおかしな点というよりも『異様性』と言った方がいいと思う。
それは――
この家の窓から、外が一切見えないということだ。
部屋に窓はあるけど、ほとんど外の明かりが入らず昼でも薄暗い。
窓を開けた先は別の建物の壁か、謎の黒い板が貼られて使っていない窓だけ。
この状況は、私だけを外の世界からあえて遮断しているとしか思えない。
そう言えば検診とか予防接種とかも受けた事もない。
お母さんやお父さんの事を悪く思いたくないけど、これは監禁とか軟禁に入るんじゃないかという思いが頭を過る。
でも、きっとそんなのは全部気のせいに決まってる!
だって、今世の両親は本当に優しいし、私を本当に愛してくれているんだから!
だからきっと幼稚園に行く年になれば、そんな不安を感じた事もあったな、って笑い話になるんだろうと信じてる。
そう思いながら薄暗い部屋で月日を重ね、ついに私は、外の世界を一度も見る事もなく、4歳の誕生日を迎えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!