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4歳。
普通ならば幼稚園やら保育園やらに行ってる年齢だ。
義務教育はまだだから、どこにも通っていない子も中にはいるだろう。
でも、この年まで一歩も家から出たことが無い子供は、そうそう居ないはずだ。
「はっぴばーすでーとぅーゆー♪はっぴばーすでーとぅーゆー♪」
お父さんが選んだピンクのプリンセスドレスに着替え、頭に4という数字が乗ったティアラを付けた私は、今の状況に酷い不信感を募らせながらロウソクを吹き消した。
拍手されて、今世で初めての嘘の笑顔を作った。
ケーキを食べて、プレゼントを貰って……
喜ぶ両親の顔を見ながらも……
駄目だ……なんか、上手く笑えない。
前世の私は作り笑顔が上手かったのに、甘やかされている間に下手になってしまったようだ。
……いや、違う。
私は本気で作り笑顔なんて作っていないんだろう。
本当は言いたいことがあるって、両親に気付いて欲しい気持ちが知らず知らずにあらわれているような気がする。
「どうしたの?誕生日なのに元気ないわね。どこかしんどいの?」
そう聞かれて、やっぱり内心喜んでしまった。
でも、いざ聞こうとすると本当に聞いていいのかためらってしまう。
でも多分、きっと話せば分かる。
唇同士をグッと合わせてから口を開く。
「パパ、ママ……あのね……」
だって、今世の両親は私の事をこんなにも愛してくれているんだから。
だからもう聞いてくれるよね。私のお願い。
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