どうして私たちの子供ばかり

4/19
前へ
/844ページ
次へ
「シエル。外はとっても危険なんだ。 だから、6歳になったらお外デビューしようね。それまで我慢出来るかい?」 危険……? 監禁みたいな事をしているのは、実は究極の過保護って事? 6歳という基準は何? ……あっ!小学校に行く年だっけ? 小学校は義務教育だもんね。さすがに小学校は行かせてくれるんだ。 ずっと言わてれている『長生きして』という言葉の裏に、何か隠されてるんだろうか? 実は私より前に生まれた子供が居て、小さい頃に交通事故に()ったとか……? 本当は色々な疑問があった。 聞きたいことが山のようにあった。 でも、そんな疑問は口から出ないようにゴクリとお腹に戻して(うつむ)いた。 だって、やっぱりこれ以上はなんとなく聞いてはいけない気がしたから。 私が、期限が決まっているのなら、あと2年我慢すればいいだけだ。 そう思って、腹に疑問や不満を無理やり落とし込んだ。 ………… …… 突然、椅子に腰掛けている私の首に、漆黒(しっこく)の長い髪が絡みついた。 息が詰まるほどの苦しさを覚えたその瞬間、視界が完全に黒い髪に覆われ、闇が迫ってきた。 「は……あぁ……」 お父さん……お母さん……助けて……。 そう言いたいのに上手く声が出せない。 『まだ生きていたのか。殺してやる』 くぐもったような低い声が直接鼓膜を揺らす。 もう、息が出来ない。 「や……め……」
/844ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8547人が本棚に入れています
本棚に追加