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「……嘘でしょ……。今度は大丈夫だって、思ってたのに……」
「どうして……どうして私たちの子供ばかり……」
反対側では、私が目覚めた事にも気付かない両親がパジャマ姿で抱き合い、肩震わせて泣いていた。
その姿は、まるで人生の終わりを嘆き悲しむかのようだった。
そんな様子に不思議に思いながら身を起そうとすると、突然、目がくらむほどの酷い疲労感に襲われる。
いつの間にか目を閉じていた私は、重りでも乗っているかのように感じる瞼を無理やり開けると、薄暗かった寝室は昼間のような明るい部屋に変わっていた。
両親が泣いていた場所に首を振ると、そこにはもう誰も居ない。
そのことに一度目をパチクリさせてから反対を向くと、今度は荒れていたはずの部屋がほとんど元通りになっていて、頭にはてなマークが浮かんだ。
一瞬見たあの光景は夢だったのか?
って言う事は、あの悪夢は夢の中の夢?
そんな事を考えていると、「あら起きたの?おはよう」とお母さんがエプロンで手を拭きながら駆け寄って来た。
「おはよう」
「体、痛い所とか辛いとかない?」
いきなり体を労わるような質問が飛んで来て、凄い違和感を持つ。
そんな中で顔を見上げると、パンパンに腫れたお母さんの目が飛び込んで来た。
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