どうして私たちの子供ばかり

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あぁ~!! せめて調べる手段があればいいのに。 今時、通信機器が一切ないとかどうなってるの?いつの時代よ! スマホくらい持とうよ! 日付だって覚えてるから、そこを調べたら過去の事件とか訃報とかならすぐに分かるのに。 それすら出来ないというこの状況に頭を抱えるしかない。 口を膨らませている私の元に、パタパタとスリッパの音が近づく。 見上げた先には私を覗き込むお母さん。 「どうしたの?シエル頭なんて抱えて」 「なんでもない」 「そう。ママ、ちょっとお買い物行ってくるから」 エコバック片手のお母さんは、壁にかけてる時計を差した。 「長い針が下になるまでに帰ってくるから、いい子にしててね」 やっぱり私、1年なんて待てない! 「ママ」 いい子でいた方がより愛されると思って、極力ワガママを言わなかった。 聞き分けない子だって思われたらどうなるのかが怖くて、誕生日の日からずっと我慢してきた。 でも、やっぱりこんなのおかしい! 「私も行きたい!!お外出たいよ!!」 「え!?ど、どうしたの!?」 「ずっと家の中だけだとつまんない!」 「なになに?珍しいわねそんなワガママ言うなんて。いつもみたいにちゃんとお留守番してて。すぐに帰って来るから長い針が4つ分で帰ってくるわよ」 そう言って頭にポンと手を乗せたお母さんの手を摑まえる。 「いや!私もいく!」 そう言っているのに、玄関の方に進んでいくお母さん。 こうしている間に奴は笑っているのかもしれない。 私の事なんてとっくに忘れて何もなかったかのように生活しているのかもしれない。 そんなの許せない。
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