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第1章
高校2年になって一発目の席替え。
僕は教室の1番後ろ、ベランダ側の角の席になった。
そして、僕の右隣の席は無口な女子である安湯田琴葉だった。
それから予想もしないことが次々と起こっていった。
けれど、僕が思うよりも彼女は明るく陰キャと呼ばれている理由が分からなかった。
隣の席となってからのこと、僕は彼女に遊ばれる存在となった。
けれど、夏休みが近づくに連れて彼女は学校をよく休むようになった。
そして、高校2年生の夏休み明け。
担任はこんなことを言った。
「皆さんは残念に思うかもしれませんが、安湯田琴葉さんが体調を崩したため、学校をお休みされます。皆さんも体調には気をつけて過ごしてくださいね」
夏休み前少しづつ休む頻度が増えているとは思ったが、夏休み明けには体調を崩して休むと言われた。
普通なら、担任から聞いて終わりだろう。
僕だってそうだ。
いつもなら担任から聞いた事で終わりだろう。
なのに、彼女の事を聞いて終わりに出来ないと思った。
言葉での表し方が分からない。
たった数ヶ月隣の席だったと言うだけなのに。
その日の放課後僕は担任に呼ばれた。
僕は何かやらかしたのだろうか、とも考えたが一切思い当たることは無かった。
職員室に行き、担任の名前を言って担任の元へ行く。
すると、担任は僕に言った。
「松樹くんさ、安湯田さんと仲が良かったよね」
彼女と仲がよいと言っていいのだろうか。
「まぁ、話はしていましたね」
「本当は担任の私が行かないと行けないんだけど、体育祭の準備だとかで手が離せなくて。安湯田さんのご両親には松樹くんが行くって伝えとくから、手紙を届けてくれないかな」
「家、知らないんですけど……」
僕がそう言うと、担任は紙切れを渡してきた。
「はい。このメモ安湯田の家までの道のり、それと安湯田さんに届けて欲しい手紙はファイルに挟んでるから。よろしくね」
そう言って担任は職員室を出た。
それに続いて僕も職員室をでる。
このメモとファイルを受け取ってしまったということは、彼女の家へ向かわなければ行けなくなった。
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