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担任に渡されたメモを見ながら彼女の家へ向かう。
思ったよりも担任のメモは分かりやすく、あっさり家にたどり着いた。
インターホンを押す。
すると、男の人の声が聞こえた。
「はい。どちら様ですか?」
「あ、緑高校の松樹優輝と申します。担任の先生に言われて琴葉さんに手紙を届けに来ました」
そう言うと玄関のドアがすんなり開いた。
「ありがとうね。君が松樹くんか」
口ぶりからして僕の事を知っているように感じた。
「はい。こちら琴葉さんの手紙です」
そう言ってファイルを手渡す。
すると、男の人が続けた。
「遠かっただろ。良かったら上がっていきなさい」
「いえいえ。そんなに遠くもありませんでしたし大丈夫ですよ」
「お茶でもどうかね?松樹くんの話は琴葉からよく聞いていてね、1度会ってみたかったんだよ」
そう言われ部屋の中へ案内される。
「お茶しかないけれど、どうぞ」
「ありがとうございます」
すると、階段を誰かが降りてくる音が聞こえる。
「誰か来ているの?」
女の人の声。
振り返ると同時に男の人が答えた。
「ああ、恵美。この子が琴葉がよく言っていた松樹くんだよ」
「あら!」
「どうも松樹優輝です」
挨拶を返す。
すると、女の人が男の人の横に座った。
「はじめまして。琴葉の母の恵美です。こちらが琴葉の父の亮介です」
恵美さんがそう言うと今度は亮介さんが続けた。
「すまないね。今琴葉は家に居ないんだよ」
「と言いますと……」
言っておいて後悔した。聞かない方が良かったかもしれない。
恵美さんと亮介さんは顔を見合わせて、亮介さんが続けた。
「そうか……琴葉は松樹くんにも言っていなかったんだね。琴葉は、病気なんだよ」
「そう……だったんですか……」
やっぱり、聞かなければ良かったのかもしれない。
そう思いながらも亮介さんは続けた。
「病気と言ってもね、琴葉は心臓が悪いんだよ」
「心臓が……」
「それも、もうあまり良くない。本当は1秒でも早く移植手術を受けて欲しいんだ。だけど……ドナーが見つからなくてね……」
簡単に聞いていいことでは無かった。
「医者からは、余命半年と言われているんだ」
言葉が出ない。
何を言っていいのか。
分からない。
すると、恵美さんが続けた。
「松樹くん、琴葉と仲がいいのよね……もし、良ければ琴葉に会ってあげてくれないかしら」
「仲がいいと言っていいんでしょうか。僕は席が隣ってだけで友達とも言えるか分かりません……」
「でも、学校でよく話してくれるのでしょう?」
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