五流小説家の夢

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 50分間も見知らぬ土地で歩き続けられる自信はない。  アプリの地図によると、車で行けば家から1時間もかからないらしい。 「そうだ、教習所へ行こう」  車の調達はレンタカーでいいだろう。  確かスピード取得とか、教習所の広告を列車の中で見た覚えがある。  私は携帯で『短期取得 運転免許』と検索する。  ―――何という事だ。  たった2週間で取得できるというが、費用は30万円。  それならば現地でタクシーを呼ぶ方がずっと安く済むだろう。  そもそも交通費が支給されるのであれば、わざわざ免許まで取得する必要はない。  そういえば後日、授賞式の詳細を郵送しますと言われてまだ届いていないな。きっとそこに移動手段や交通費の事が記載されているだろう。 「しかし、最悪歩くことも考えて…そうだ、歩きやすい運動靴も購入の必要があるな。よし、靴屋に行こう」  歯医者を出て駅前ビルのテナントの靴専門店に行き、スーツには革靴も必要だということに気がついた。  そこで目にしたのが『歩ける革靴』。  少々お値段は張ったが、スニーカーと革靴の2足を買うことを思えば、安かったのではないかと思う。  冴えているな、私。
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