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我が国は先の戦争終結から100年近く、平和を保っている。
しかしそれは他国に脅かされていない、という意味ではない。
海洋にぽっかり浮かぶ大小様々の列島からなるここは、世界の覇権を狙う他諸国にとっては垂涎ものの中継地である。
それらの国はグローバル市民としての平和の実現、などという美辞麗句の下、表立った攻撃をしてこないだけで裏では常に我が国を手中にするための準備を重ねている。合成人的生命体もそのひとつだ。
人間は見知らぬ他人が死んでも冷淡でいられるが、動物に対しては驚くべきヒューマニズムを発揮する。
それに気づいたマッドサイエンティストが開発したのが合成人的生命体技術である。
先の大戦でも調教により動物たちを兵士に仕立て上げる技術は発達したが、科学者は投薬によりそれを超えた攻撃性と忠誠を引き出すことに成功した。
彼らの唱えた動物たちの代理戦争が人間の感情を刺激し、反戦への気運が高まるという推論は半分当たり、半分外れた。
ならば、と新しい兵器の可能性として示されたのが動物でも人間でもない存在。
にわかに湧き上がった暗い情熱はヒューマノイドと動物の融合に至り、いくつかの大国は既にこれを所持している。
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