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 ここは、表向きは非暴力の下の平和を謳う我が国が秘密裏に建てた対合成人的生命体(キメラヒューマノイド)の研究所。そして「インスピレーションが降る島」の正体である。  我が研究所は合成人的生命体(キメラヒューマノイド)の融合の薬による解除を目的として活動している。  正直、対兵器として考えればこんなやり方は手ぬるい。  過激派には苦い顔をされているが、平和を謳う国の科学者として私はこれを人道だと考えている。  生まれもった命をむりやり捻じ曲げられ、人工物の器に埋め込まれた生を解放し、兵力を無効化する。  つまるところ、この研究は私の愛国であり、矜持であり、戦いなのだ。 「インスピレーションが降る島」に蔓延る安価なドラッグはそんな研究の副産物だ。  本来ならば違法薬物の使用は許されざるものだが、このドラッグの売り上げは研究の重要な資金源でもあり、島内での利用に限り、国からも見て見ぬふりをされている。  おそらくそんな事情もあって研究所は列島の端に小さく寄り添うこの島に建てられた。    そして思わぬ幸運もこの島にはある。  それが稀に海流の具合で流れ着く23MBのような合成人的生命体(キメラヒューマノイド)だ。  机上の空論である研究を実践に移せる23MBは私にとって島の恵みなのだった。
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