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 六日目、私に見せつけるように23MBは両翼を大きく開いた。  初日とは明らかに違う、豊かに白い羽が生え揃った様はまるで天使のようだ。 「食事をしましょう、博士」  興味を惹かれた私は一日目と同じパンを用意した。  23MBは錆だらけの指を動かし、器用にそれを割くと私に半分寄越す。 「召し上がってください」  君は、と言いかけて私は言葉を失う。  すでに残り半分のパンは消えていた。  七日目は来なかった。  検診を受ける前の明け方に、彼は島から飛び去ったから。  突如、部屋に現れた彼に私は目を丸くした。 「帰るのかい?」 「帰るのは諦めました。でも、行こうと思います」    研究室から離れた私のアパートの窓辺、彼は湿っぽい未明を自由に飛び回る。  拘束はどうした?夜警は?  次々と湧き上がる疑問を押しのけて私の口は彼の行く末ばかりを気にする。 「どこへ?」 「一緒に行きますか?」 「それは……」  言葉に詰まる私を彼はキシキシ笑った。 「博士、あなたは優しい。けれどあなたの理想は厳しい」 「そう思うかい?」 「思うのではありません。真理なのです」
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