一章 波乱の舞踏会

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 やがて大広間に、オーケストラの生演奏が響き渡る。  すると、招待客の子息達や令嬢達が、社交ダンスに興じだした。部屋の中央を舞台に、生演奏の音楽に合わせて動き回っている。若い男女が入り乱れつつ、たまに躍りの相手を変えては、場所が入れ代わり立ち代わりしながら、軽い足取りでターンを決めているようだ。ふと不意に相手と身体が密着してしまうと、あまりの夢見心地と嬉しさに、恍惚な表情をする者もいるのだった。  そうして、次の曲に差し掛かりだした。  「…カレンナ!」  同時に、離れた位置から私の名を呼ぶ声がした。  其方の方に、すぐさま私は振り返る。  すると此方に向かって、シヤリー侯爵令嬢が手を振りながら階段を下まで降りて、側へと歩み寄ると話しをしてきた。  「来てくれたのね!…」  「当たり前でしょ。…親友なんだもん。」  と、私も返事をし、笑顔を向ける。私達は幼馴染みの関係である。両親同士が仕事での交流があり、自然と子供の頃に遊ぶ時間を共有していた。それから何となく互いに気が合う間柄となっているのだ。  「…ふふ、そうね。…ずっと子供の頃から一緒だもんね。」  とシヤリーも、また笑い返してきた。  そのまま二人で、他愛ない話で盛り上がっていく。  「そのドレス、素敵ね。…色合いは大人しいけど、…貴女自身を引き立ててるようよ。」   「ありがとう。…これね、お母様が、結婚のお祝いに譲ってくれたの。…」  「よく似合ってるわ。」  「うふふ。…」  「……やっぱり、もうすぐ結婚するんだね。…」  「えぇ。…式の方にも是非、参加してくれる?。」  「わかったわよ。…必ず行くから。」  「…カレンナも、結婚する時は私を呼んでね、絶対よ。」  「私が結婚、……ね。…」
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