一章 波乱の舞踏会

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 「な、何なんだ!!」「いったいどうなっている?!」  「あ、…あれは。…」「…アルジェンなの?」  「知らん!…」「し、しかし、…あの装束は、…」  「それよりも姫様が拐われたぞ!」「お、…追いかけねば、…」  おまけに、再び招待客が騒ぎだす。  必死に近衛兵達が、落ち着く様に声を掛けて対処するも、もはや手に余っていた。  「待たんか!」  と父だけが、真っ先に追いかけて行く。  そんな様子を余所に、私は呆然としてしまった。既に頭で理解が追い付かず、ただただ立ち尽くしてしまう。  その時、シヤリーが此方に寄って来て、必死に訴えかけてきた。  「カレンナ、…お願い!…ナンリー様を助けて。」  「シヤリー?…」  「…危ないのは、わかってるけど。…でも私、助けたいのに、義理妹になる子なのに。…でも私じゃ、助けられない。…だから、…」  「……わかったわ。…此処で、ヴィシュー殿下と待ってて。」  それを私は聞いて意を決すると、力強く頷いて了承した。すぐにヒールを脱ぎ捨てて、さらにドレスの裾を掴むと、一直線に走り出し、急いで階段を駆け上がって、後を追いかけた。何の迷いも無く、ただ愚直に突き進んでいく。
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