ドMオジサン

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ドMオジサン

三縄雅海(みなわまさみ)、現在30歳未婚、そして彼氏いない歴=年齢の喪女である。 かと言って暗くジメジメした感じと言うわけではなく交友関係に男は多い、なのに彼氏がいないのは皆口を揃えて言う言葉 「雅海は女の感じしないから付き合いやすいよ!男女の友情って成立するんだなぁ」 酒の席で楽しそうに話す一番付き合いが長く一番お互いを理解していると言える雅海の好きな人そんな人からもついに言われてしまった。成立してねぇよ私は友情以上だよ!なんてことも言えず、そうだよなぁ!なんて言って帰ってきた自分の誕生日パーティー、ショックで飲みすぎて、意識が飛ぶ前に主役が抜けた。誕生日のプレゼントもパーティーで祝ってくれたのも嬉しかったのに、最悪のタイミングの親友宣言、その場で喜んだふりをしていたが、ボロが出る前に引き止められながらも無理やり帰った次第、だいたい酔ってる女が無理やり帰ると言ったとはいえ見送りの男もいない事が自分の扱いがどんなものか推し量れるというもの、帰り道のタクシーの中で涙したのは運転手と雅海だけの秘密だ。 うーうー泣きながら雅海はマンションの自分の部屋の鍵を開ける真っ暗で寂しい部屋にただまーと言っても返事は帰ってくるはずなくと思っていた。 「ムフフ、おかえりぃ〜」 は?と思って前を見れば誰も居ない、居るはずない自分は独り暮らしで合鍵を渡す彼氏もいないし家族は県外の遠い土地に住んでいる、酔っぱらいすぎて幻聴でも聞こえたのだろうと靴を脱いでカーペットに足を上げるとムニュっと何かを踏む感覚 「あふぅん♥」 気持ち悪い声と何かを踏んだ感覚に足を上げて見ればカーペットの上に手のひらサイズのおじさん おじさんが居る 雅海は声にならない奇声を上げながら廊下を駆け抜けて自分の部屋に行く 「なになになになに!?何あれ!?」 カバンをおろして恐る恐る廊下を見るだがそこにいたはずの小さなおじさんは居なくなっていた。 そりゃそうだあんな小さなおじさんが居るはずない、雅海は息を整え、驚きで覚めた酔を気にしながらも化粧を落とすために洗面台に行く化粧と言っても日焼け対策の日焼け止めとファンデーションくらいだが。白肌の雅海は少しでも焼けると真っ赤になって大変なのだ化粧を落として酒がまだ残っているだろうからお風呂は朝入ろうとぱぱっとスエットに着替えて布団に潜る、おじさんのおかげで大好きな男からの親友宣言を忘れる事ができた。また変な幻覚幻聴を起こす前に雅海はスヤスヤと眠りについたのだった。 明け方、雅海はいつもより早く起きた。早すぎるなぁと思いながらも尿意を感じトイレに向うトイレからフーすっきりなんて言いながら出てこういう所が駄目なんだろうなぁと思いながらも癖というものは抜けないものだ。もう一眠りと布団の前に足を運んだ時だまたムニッと何かを踏む 「あふぅん♥」 嫌な予感がして足元を見ると昨日の幻覚で見た小さなおじさん 「ぬああああああ!!」 叫んで転んでしまったら小さなおじさんも蹴り飛ばしてしまった。 「あふん♥ふべし!!」 蹴り飛ばされておじさんは激しく壁にぶつかった。 「な、何ぃ何なんだよぉ、夢なら覚めろぉ夢なら覚めろぉ」 気持ち悪い夢に覚めてほしくて頬をつねるが一向に目覚める兆しは無い、それどころか手のひらサイズのおじさんは立ち上がってこちらに近寄ってくる。 「ひいいい!くるなくるな!」 「驚かせてしまってごめんなさぁい♥私キューピット妖精教会から来ましたドムエムですぅ、よろしくぅ」 「きゅ、キューピット妖精?」 ビビりながらもおじさんのキューピットという言葉に少し惹かれる、おじさんは虫のような羽根を背負っていてその羽をパタパタとはためかせて雅海の肩に乗る 「私共キューピット妖精教会は、30過ぎてもまだ童貞というおじさんにおじさんを送りおばさんにはおばさんを送るのですがぁ・・・・・あなた何故胸が?ニューハーフですと私来た意味無いんですけど」 「私は女です」 「な!なんですってぇぇぇぇ!!!」 ドムエムは驚愕し雅海を見る 「た、確かに女性ですね、なぜ私が・・・・とりあえず協会に・・」 そう言いながらおじさんは腹巻きから光の板を取り出す 「問題なく面会したと伝えましょう「なんでだよ!!」 思わず雅海は突っ込んでしまった。担当に同性の妖精が来るはずならこの派遣は失敗のはずだ 「何故って?おじさんはね」 ドムエムは神妙な面持ちで雅海を見る雅海はゴクリと生唾を飲む 「おじさんは綺麗な女性にいたぶられたいからだよ!「お前の欲求のためかよ!!」 思わず殴り飛ばしてしまった。おじさんはあぁ!なんて言って飛んでいく 「素晴らしいビンタ!そのいきです!」 「どのいきだよ!!!」 「あ、運営さんですか?担当の方と無事顔合わせしました、契約しましたらメール送ります、ではのちほど」 「て、ちょっと!!担当変えしてくださいよ!」 「なぜですか?担当はドムエムです」 「なにが担当はドムエムですだよ!てえ?」 雅海が担当はドムエムですと言った途端周りが光ってその光は雅海とドムエムの間で小さな一つの玉になりドムエムの持つ光の板に吸い込まれていく、 「は?」 「はい!契約完了!これで契約終了時までドムエムがあなたの担当です!よろしくお願いします!」 「な、」 雅海はまんまとドムエムの罠にハマり、知らぬ間に契約してしまったらしい 「何てことするんだぁぁぁ!!!!」 ぎゅーとドムエムを掴めばあぁん何て気持ち悪い声を出していて喜ぶだけだったのだった。 昨日、誕生日パーティーで潰れる予定だったので仕事の休みは取ってあった、 だから今日はゆっくりゴロゴロしようと思って居たのに早朝から起きて慌ただしくして疲れてしまった。とりあえず自分勝手な自称妖精おじさんを放置して朝食を食べる事にした。パンを焼いてスクランブルエッグとソーセージをお皿に盛ってジャムとミルクを机に置いたら座ろうと思ったが、尻に嫌な予感がして立ち上がり椅子を見る 「あーん!もう少しだったのにぃぃぃぃ!」 「もう少しじゃ無いわこの変態!」 ベシっと弾き飛ばせばまた変な声を上げながら飛んでいく 食べようとするだけで疲れてしまう 邪魔者は飛んでいったので椅子に座って朝食をとる、パンにジャムを塗って食べているとパタパタとドムエムが飛んでくる、そしてなんの気なしに見ているとスクランブルエッグを一つの摘んで食べだす 「いや、勝手に食うなよ」 「いやぁ美味しい卵ですね!」 「話聞いてる?」 もう反応すること自体が疲れると、パンにかぶり付くパクパクとパンを食べているとぶわんと机の対角線上の場所に穴が開く穴の中はこの世のものとは思えない綺麗な花畑と湖が見える、どう考えても日本ではない花が咲いてるように見える所から小さなおばさんが出てくる 「ドムエム!!この書類はどういうことよぉ!!!」 また妖精らしき物が出てきた勘弁してくれ、まだ私は酔っているのだろうかと雅海は眉間を揉む 「あ!契約者様!この度は我が協会の手違いでこの様なことになり誠に申し訳ありません、私派遣支部長のドスエスと申します」 「あ、はい、三縄雅海と申します」 ドムエムとは違って話が出来そうな妖精であるドスエスは、ドムエムを殴って問い詰めている 「お前!この書類はなんだ!お前は男に派遣したはずのに何故契約者が女と書かれてる!?お前は未性交のおじさん担当のはずだろうが!」 「そうは言われてもぉ派遣書類に間違えは無かったよぉ」 ドスエスに問い詰められならドムエムは嬉しそうにそう言う、 ドスエスはドムエムに渡された書類を見て固まる 「確かにこの部屋のおじさんに派遣されてるな・・・・名前も何故か一致している・・・・」 うーんと首をひねる妖精二人に雅海は質問する 「ねぇ、その書類私も見ていい?」 「えぇそれはもちろん」 そう言ってドスエスは書類を渡してくれる 書類の中身はこうだ 【三縄 雅海(みなわ まさみ)30歳】 好物 柿の種、ビール、ポテトチップス 趣味 バイク 特技 オヤジギャグ 苦手 部屋の片付け 性格 大雑把で美容に興味なし服なども着れればいいタイプ 食事よりもお酒や煙草などのほうが好き、メールやラインなどのやり取りも簡素で重要な事だけ話す、酔うと笑い上戸、 お菓子は葵の影響で好きだから製菓会社に入る。 未性交 _____________________________________ 意中の相手【蝋梅 葵(ろうばい あおい)】 恋レベル8友情? 雅海のことは親友だと思っている、何でも共有できて大好きな友達、過去に恋愛経験あり 好物 チョコと苺 趣味 車 特技 料理(特にスイーツ) 苦手 虫 性格 甘いものが好き、バイクも少し好きでたまに雅海に付き合って遠乗りしてる。世話を焼くのが好きで雅海の部屋を文句言いながら片付けるが悪い気はしない、頼られることが好き、甘いものが好きなので自分で作ることもある、虫が苦手なので、簡単に始末したり追い出してくれる雅海が頼れて好き、ずっと一緒に居たいと思っているが恋愛だとは思っていない 鈍感で幼馴染の雅海の気持ちにはまったく気が付いていない 【キューピットの仕事】 二人を恋人にするため雅海をイケおじにする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 最後まで読んで何かを理解した。自分の説明欄が見事におじさんらしい、そして自分の好きな男、蝋梅葵に可愛らしい所がありすぎて逆だと思われても仕方がない 「この書類に間違いは性別だけですねぇ」 雅海が二人に言うと二人は顎に手をやってなるほどと納得する 「書類通りならあなたはほとんどおじさんですね」 ドスエスの言葉にグサッと槍が心臓にでも刺さったような感覚を覚える 「昨日も誕生日パーティーにでも行ってたはずだよねぇTシャツに似合わないスカートはおしゃれしたつもり?」 ドムエムの言葉に2本目の槍が刺さる くぅっと瀕死になりながら書類をドスエスに返す 「あんたら手違いで人送っといて好き勝手言いやがってぇ」 ぐぅぅと何とか言い返すが二人にダメージはなくただドスエスが何か悩んでいる 「うーん、派遣の間違えた理由は理解したが、もう契約をしてしまっているからなぁ」 ドスエスの言葉に嫌な予感がして雅海は顔を引くつかせながら聞く 「もしかして契約したら変更できない?」 雅海の言葉にドスエスがコクリと頷く 何だと!?とまたドムエムをつかむ 「嵌めやがってこの似非妖精がぁ」 「あぁん♥似非じゃぁないよぉ♥」 掴んで振っても喜ぶばかり、こいつにダメージは与えられないのかと悔しく思っているとドスエスが書類をだす 「まぁ変更出来るのは目的だけだからここがこうなるわねぇ」 そう言ってドスエスが手を降ると書類のキューピットの仕事という欄が変わる【二人を恋人にするため雅海を乙女にする】 「よし!」 「何仕事しました感出してんだよ、こいつを変えてよ!!」 これで問題無しとでも言うようにドスエスが言うものだからつい怒鳴ってしまう 「そう言われましても、お客様がドムエムを自分の担当だと言ってしまわれてはもう変更はできないんですよ」 「言っただけなのに!?」 「言葉は重いですよ?」 ドスエスとの押し問答でもうどうにもできないのかと、この変態に恋愛指南してもらわなきゃいけないとは何て不覚!!恋愛は苦手だからサポートしてもらうのは嬉しい筈なのにこんなやつがキューピットなんてそんな酷いことがあるだろうか!! 「ご安心ください、ドムエムは女心のエキスパート、そして男のこともきっちり理解してます!」 「問題はそこじゃなくてですね?」 雅海はドスエスに目線を合わせて懇願するように言う 「貴方のどうしょうもないおじさん感もきっとドムエムなら大丈夫です!ドーンと任せてください!とりあえず派遣手違いのお詫びとしまして妖精饅頭を置いていきます、それでは失礼しました!」 いうが早いかドスエスは、どこに入ってたのか普通サイズの4個入り饅頭のパッケージに妖精饅頭と書かれた物を置いて入って来た時の穴に入っていくのだった。 「饅頭とかいいからこいつを連れて帰ってくれええええ!!」 雅海の願いが叶うことは、無かったのだった
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