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第五章
翌日、ピエロはサーカス劇場の舞台に復活した。
ピエロは何をされても傷つかない。
ピエロは…
「ソラさん、」
楽屋にやって来たみさとはピエロの心の念じに割り込んできた。
「ソラさんもうやめてくれよ」
みさとはピエロに必死の思いを投げかける。
ピエロは傷つかない。ピエロはなにも感じない
ピエロ…ソラさんも負けずに念じる。
「ソラさん、あんたがやることはない、ソラさん、もう危ないことはやめてくれよ。なんでソラさんはこんなこと続けるんだ」
みさとは顔を赤くして必死に訴えかける。
ソラさんの赤い鼻にまた百合の香りが入ってきた。でも今回はなにも感じない。
「もう本当に、やめておくれよ」
みさとの綺麗な奥二重の目は涙で濡れていた。彼の感情は溢れ出していた。
「私の…」
ピエロはようやく口を開いた。
「私の他に誰かが傷ついていいなんてことあるの?」
ピエロはなにも感じない。ピエロは…
ただの嘘だった。
ピエロは泣きながらみさとに倒れ込んだ。
ソラさんは今日もピエロを続けた。みさとは毎日のようにソラさんを応援する。
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