プロローグ

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プロローグ

全てが荒廃したこの世界に僕はただ…一筋の閃光をみていた。そう呟いた少女が見詰める先にあるものは…一羽のカラスと大きな鳥居だけだった。 僕には前世の記憶がある。殺人鬼「森崎綾音」2012年の秋に渋谷を騒がせた連続通り魔事件。その犯人は他ならぬこのボクだ。そして…ボクはあの日全てを超越した先にキミを見付けた。 その世界の中で眩しく煌めくキミはボクの希望だったんだ…。そう二条に問いかけた少女は何処か物憂げで…懐かしい匂いがした。 蝉の声もしなくなった秋の夕暮れ…アイスが夕闇に照らされて溶け落ちる。彼女はそれを冷笑した目で見詰めながら…パクりと口の中に入れた。 私の名は森崎綾音。数年前の夏。渋谷を騒がせた連続殺人鬼だ。蝉が煩く泣き喚くのを辞めたあの秋の日。僕は人を殺した。 「皆様こちらが事件があったとされる現場です。帰宅途中の男性が背後から…何者かに刺されて死亡しているのが発見されました。警察は現在…犯人の行方を追うと共に…付近の防犯カメラの映像等をチェックしているとの事です!!!?」 「繰り返します。帰宅途中の男性が背後から何者かに刺されて死亡しているのが発見されました。警察は現在…犯人の行方を追うと共に…付近の防犯カメラの映像等をチェックしているとの事です!!!?」 TVからそんなニュースが流れてきて…1人の少女はニンマリ笑う。そして…小さく小声で「馬鹿な奴ら?」と呟いた。 そして長いまどろみの中に居た彼女の「殺意」はある日を境にして表に出るようになる。日の目を浴びてこなかった一輪の花は…彼女の心に深く咲いて鮮やかに咲き誇り根をはった。 何より彼女を「狂気の道」へと駆り立てたてた物は抑えきれない程の「好奇心」だったのかもしれない
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