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早起きをして見た日の出は想像以上に美しかった。太陽が登りきっておらず、気温は低い。防寒具から出ている頬や鼻は赤く染まっている。
「きれいだ」
「きれいだね」
白い息をこぼした真緒は絵になっている。写真集の表紙を飾れそうだ。
「旅行、楽しいね。真緒が頻繁に出かける理由も分かる」
「……もう、そんなに出かけないかもしれないけどね」
「どうして?」
ポンっと彼女の頭が肩に触れた。長いまつ毛が濡れている。陽の光が瞳を輝かせた。
「もう居場所があるから」
「え?」
小声をこぼして、俯いた彼女の顔は髪に隠れて見えない。
「いつも『おかえり』って言ってくれてありがとう」
感動のあまり、急に素直になった友人を抱きしめると、2人ともバランスを崩して倒れ込んだ。晴れやかな表情で笑い合う。寒さはもう感じなかった。
「そうだ、これからは一緒に行こう!」」
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