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遡ること、三時間前。わたしは勤め先の部長席で頭を下げていた。
わたしが関わっていた仕事で発注ミスがあり、顧客に損害を出してしまったのだ。幸い、問題にはしないと言ってもらえたものの、落度は全面的にこちらにある。
問題は、その責任をわたしが取らされる形になったことだ。確かに資料を作成したのはわたしだ。しかし、係長にも確認をもらい、金額の誤りなどはないはずだった。
わたしのミスであるなら、甘んじて受け入れもしよう。しかし、チェックを受けた後の資料に、修正されている形跡があったのだ。ファイルの更新日付が変わっていたことに気づき中を確認すると、明らかに内容が書き換えられていた。
誰かに貶められているのか、それともただの間違いなのか。いずれにせよ、わたしはそれを問いただす術を持ち合わせていなかった。いつものことだ。自己主張が出来ないのは、わたしの最大の欠点。
助けてくれない同僚や、言われるままに罰を受けることしか出来ない自分への失望感。そんな負の感情が限界突破し、人生を辞めてしまおうと思ったのだ。
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