ト書きのない文学シリーズ5 二条さんと

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二条「初めまして。二条と申します」 四条「こちらこそ初めまして。四条と申します。まさか会っていただけるとは思ってもいませんでした」 二条「正義のためです」 四条「まさよし?孫正義氏とお知り合いですか」 二条「せいぎ、と言いましたけど」 四条「あ、失礼しました。でも、ちょっとだけ、ボク勝ってますね」 二条「名前の二条分ですか?」 四条「いえ、身長」 二条「ああ、身長ですね」 四条「二条分って、面白いですね、相変わらず」 二条「初対面ですけど」 四条「それが初対面って感じがしないんですよ。なんだか前世で」 二条「敵味方とか」 四条「じゃなくて、夫婦とか。そんな感じがするんです」 二条「いま悪寒がしました」 四条「ボクはウェルカムなんですけど」 二条「いままで一番嫌なことは、寝てる間にGが顔の上を歩いて行くことでしたけど、今回、それが二位になりました」 四条「うわ、顔の上はきっつい」 二条「映えある一位は、四条さんに、前世夫婦だったと言われたことになりました。一位おめでとうございます」 四条「ありがとうございます!なんでも一位ってのはいいもんですね」 二条「その四条さんのタフなメンタルに、核を搭載した火星14号を打ち込みたいです」 四条「その発想が素晴らしいんだよなぁ。さすがです。受賞おめでとうございます」 二条「いきなりですね」 四条「いや本当に僕は二条さんの作品を高く評価しているんです。僕から表彰状を授与したい」 二条「お前に何がわかる、って話ですね」 四条「面と向かって褒められるって、恥ずかしいですもんねぇ」 二条「あーなんで今日、銃持って来なかったんだろ。あ、そうだ。アレがあった」 四条「アレってなんですか」 二条「お土産渡そうか迷ってたんですけど、やはり正義の名の下に差し上げます」 四条「嬉しいなぁ。ありがとうございます。なんだろこの液体」 二条「裏山にキノコがたくさん自生していまして、昨日、特に彩のキレイなキノコを採集してミキサーで撹拌したものです」 四条「手づくりですか!光栄です。手づくりって本当に好きな人にしかあげないですもんね」 二条「どんものにも特例はあり」 四条「キノコって体にいいし」 二条「いいものと猛毒があり」 四条「いま飲んでもいいですか」 二条「いいといえばいんですけど。早いほど嬉しいので。でも、お店に迷惑かけるのはちょっとなぁと思います」 四条「あのう、ひとついいですか」 二条「あれ、さすがにバレました?」 四条「このキノコのエキスをもらったことを題材にして、僕も短編の作品を書いてもいいですか」 二条「遺作ですね。書くだけの余命があればですけど」 四条「よーし、作品の意欲が湧いて来たぞお。ラブロマンスものかなぁ」 二条「サスペンス」 四条「おー、それもいいですね。東野圭吾くらいのなら書けそうですから」 二条「ちなみに、効果はすぐに出ると思うので、飲んだら早く書かないと未完になりますよ」 四条「安心してください、アレと書くのは早い方ですから。ちなみに、僕はこの後、いつも行く彼女が働くカフェ(ト書きのない文学1参照)に行くつもりですけど、二条さん、どうします」 二条「はい、自首します」            【了】
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