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カルテその1 恋愛相談
翌日学校帰りアーケード商店街を歩いていると、昨日の猫がまた菜美の後をついてきた。
「何よその猫」
薬師病院の前で缶チューハイを飲みながら瑠璃子は言った。
「猫のイヌです」
「ほら、いたでしょ」
「わたしが名づけたんです。もう自暴自棄になっていたので」
菜美と猫は院内に入り一通りの流れと設備を説明された。
「ね!簡単でしょ。部屋はここだけ。菜美はわたしと患者をおちょくりつっこみまくれば良いのよ」
「まくれませんよ、前の学校でもろくすっぽ友達さえいなかったんだから」
「あぁあとね。外に並んでる患者が結構うるさいしトラブル起こすから、おとなしくさせてね」
「だから、そんな事が出来きませんって人見知りの陰キャラなんだから」
「大丈夫。つっこめば良いのよ」
瑠璃子は親指を立てウィンクした。
菜美は思った。
やばい、このままじゃつっこみにされてしまう。
カフェやらお店家さんで対話修行して、品川辺りで企業の営業職につく夢が、、と。
そして、pm3:00薬師病院はOpenした。
でも待てよ。占いもカウンセリングの要素もあるし、何かしろ学べる事があるかも。
「瑠璃子さんって、どこで占い師の勉强されたんですか?資格とかってあるんですか?」
「ないわよ、そんなの」
「いきなりですか?」
「えぇ、急に居酒屋で思いついて。2日後ここをOpenさせたわ。あぁ資格なら医師免許はあるけど」
一瞬固まった菜美だが
「ちょ、ちょ、ちょ、! あんた何を」
と広げた右手を瑠璃子の前でものすごい勢いで痙攣させた。
菜美の脳内整理がつかないまま、ドアを開けて男が飛び混んできた。
飛び込んで来た男を見て菜美はすぐ気づく。
「昨日のお花持ってきた方ですよね」
「そうよ、好きな人がいるんだけどなかなか上手く行かないから毎日診断にくるのよ」
菜美は問診票を渡した。
「お前ねぇ、俺は毎日きてんだよ。いまさらなんだよ。馬鹿かよ」
「わたしは初めてなので」
テーブルの横に立つ菜美は冷ややかな目で見下ろして言った。
おぉと瑠璃子は驚いた様子で見上げ、菜美に目をキラリと光らせた。
しぶしぶと男は問診票をテーブルで書く。
名前: 佐渡純一
年齢(行年) : 満35歳
相談内容: 恋愛
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