2人が本棚に入れています
本棚に追加
カルテ4 通院患者
「しかし外の連中うるさいわね。菜美ちょっと静かにさせてきて」
菜美は外に出た瞬間我に帰った。
なんか怖い。学校とかのわたしバージョンになってる。瑠璃子さん近くにいたら冷静になれるのに、、怖い怖い。
1人の常連客が菜美に詰め寄って来た。
「菜美ちゃん、いつまで待たせんだよ」
まわりもつられてわーわーと騒ぎ始めた。
中を覗くと瑠璃子は知らぬ存ぜぬとパソコンをいじっている。
謝るべきだろうか?
怒るべきだろうか?
瑠璃子さんはツッコメと言うが、上手い言葉なんか浮かばないし、そもそもツッコミなんて人生でした事ない。
さらに患者達が騒ぎはじめて暴動になりかけている。
菜美は思い出した、なんの取り柄も説得力もないわたしだけど一つだけ人を黙らせた経験がある。
小学生の時靴を隠されたり、椅子に画鋲撒かれたり、体操服プールに入れられたり。
追い詰められたわたしが叫んだ一言。
「みんなーー!仲良くーー!!」
常連客は一瞬で静かになった。
そうあの時の凍りつく視線と同じ。
以来わたしのいじめは無くなったが、誰も声をかける者がいなくなった。
なんでわたしが責められてんのに、みんな仲良くなんだよと菜美は自分につっこむ。
わたしは変人なのだ、普通になりたい。
菜美はトボトボと肩をおろし、院内にもどると瑠璃子は何故か涙を流しながらうつむいて爆笑していた。
最初のコメントを投稿しよう!