薬師瑠璃子

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薬師瑠璃子

商店街のメインストリートに人の行列が出来る店があった、その名も薬師病院。 白い蛍光立て看板に青文字で書かれている。 よく見る光景だ。 しかし初めての通行人は必ずと言って良いほど二度見した。 その理由は、窓ガラスの奥に見える院内が暗く、テーブル一つしか無く、その両サイドにはローソクが灯されている。 テーブルの真ん中には水晶らしき物が置かれ、その後ろには白衣を着た女性が1人座っているからだ。 女性の髪は肩までのボブで、目はアーモンド型鼻は高く堀が深い。 エキゾチックな顔立ちは日本人とも西洋人とも見える。 最近町に引越してきた、白川菜美はその怪しさと美貌に見惚れて窓からのぞきこんでいた。 菜美の後ろには病院に並ぶ患者の列がなしている。 1番前に並ぶ男性は薔薇の花束を持っている。 お見舞いかな?と菜美は窓からのぞくと、その女性が一言二言その男性に声をかけると、走るように飛びだしてきた。 目に涙を浮かべ、喚きながら商店街を走り去っていく。 ますます菜美の謎は深まっていく。 女性はやれやれと言う顔で、薔薇の花束を拾って顔を上げた時菜美と目が合った。 蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった菜美に女性はちょいちょいと手招きをする。 菜美はその威圧感に逆らう事が出来ず、おそるおそる中に入った。並んでる患者らしき人々からの罵声を背中に。 わたしが割り込んだみたいになってるじゃないの。 そんな心の声を無視するように 女性は菜美の顔から身体を舐め回すように見ている。 「よし、合格よ」 「な、なにがですか」 と菜美は頬を上にあげ悲しそうに呟く。 「明日っから来てね! 面接合格」 「えーーー! わたし面接に来たわけでないです」 「わかってるわよ。見てただけでしょ。わたしが採用って今決めたんだから」 「だいたい、わたし病院なんか勤めた事ないしただの高校生だし」 「何言ってるの?」 女性はネームプレートを菜美に向かって、手で押し出した」 占い師 薬師瑠璃子
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