夢使いの仕事

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 その夜、帰ってきたアオに早速バディフの作り出したアロマストーンを渡した。 「今度はディフューザーじゃなくてこれにするのね。使うアロマはどうすればいいの?」 「今から私が選んであげる。やり方教わったから準備するね」  ポーチからもらってきた夢アロマ一式を取り出す。手に触れる度、夢アロマの瓶の中に封じ込めた景色が浮かび上がり、アオは興味深そうに見つめていた。メイムは深呼吸し、アオの首元に居座るリトルメアに目を向ける。リトルメアはキキキと笑い、コウモリの羽をパタパタと振った。 「これで準備完了だよ。今から何本か私の方で夢アロマを選ぶから、お母さんにはふたを開けて中をかいでほしいの。かいだ時にどんな気持ちになったのか教えて」 「わかった。ふふっ、なんだかカウンセラーさんみたいね。ドキドキする」  アタエが言うには、人には今の自分に必要な物をかぎとる力があるのだという。そのため、どのアロマが効くのかは夢主に選んでもらう必要があった。しかしアタエがブレンドした夢アロマは種類が豊富で、全てをかいでもらうことは難しい。候補はメイムが直感で選ばなければならない。 (リトルメアが見える私には、候補をちゃんと選べるってアタエおばあちゃんは言ってたけど……)  なんとなく目についた瓶を三本手に取り、アオに差し出す。深海を漂うクラゲが見える瓶、青白い夜空に浮かぶ月が見える瓶、青い蝶の舞う樹海が見える瓶。アオが瓶のふたを取って香りを確かめる度に、アオの首元にいるリトルメアがキキと警戒するのが見てとれた。どの夢アロマでも効き目がないわけではなさそうだが……。
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