不思議なアロマ

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 おばあさんの名前は夢崎(ゆめさき)アタエといった。歳はメイムの祖母よりもひと回り上といった感じだ。聞けばアタエは娘達が結婚して自立した後、夫に先立たれ、慣れ親しんだこの街で一人暮らしをしているという。  アタエの家は坂を登った先の丘の上にあり、白い木で出来た可愛らしい外観をしていた。奥にはバラのアーチやレンガの花だんの並んだガーデンがあり、メイムは思わず目をキラキラとさせた。 「すごい。これ、おばあさんが一人でお世話してるの?」 「そうだよ。こんなに可愛らしいお客さんが来てくれて、お花も喜んでいるわねえ」 「まるで絵本に出てくる花園みたい。私、大好きです!」 「ほっほっほ。メイムちゃんは本当に心根の優しい子だね。どれ、お礼をしなくっちゃ」  アタエは壊れた押し車を玄関に置くと、部屋から小さなポーチを持ってきた。メイムの祖母のエプロンのような、レトロな花柄をしている。 「メイムちゃんはアロマは好き?」 「アロマっていい香りがするあれ? わかんない。使ったことないから」 「ならちょうどいいわ。私ね、アロマを作るお仕事をしているの。よかったら使ってちょうだい。心身ともに健やかなメイムちゃんなら、きっといい夢が見られるわ」 「夢?」 「これはね、夢アロマっていう見たい夢を見せてくれるアロマなの。中に使い方を書いたカードがあるから、よく読んで楽しんでね」 「わあ、なんだか素敵! ありがとう! 使ってみる」
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