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私たちは「ただいま」と廊下の奥へと声をかける。「お帰り」とパパの返事がした。トントンと野菜を切る音がする。キッチンにいるみたいだ。リビングのドアの前でルルと別れて、私はさらに奥、キッチンにつながる開け放たれた引き戸を通る。パパが顔を上げた。
「ナナちゃん、お帰り」
私は一楠異能学園から届いた封筒をパパに渡した。パパの眉間に一瞬しわが寄った。私の視線に気づいて、またすぐ笑顔になったけれど。
「ダイレクトメールか。どこからか漏れたのか」
私が思ったことと同じことをパパが言ったので、私は思わずふふっと笑ってしまう。パパは封筒をカウンターの端に立てかけた。ゴミ箱がすぐ下にあるのに捨てないんだ。違和感を持ちながら、私はリビングへと向かった。
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