序章

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案内が終わり、自分の教室の前まで来た時。 何やら、人探しの質問の様な会話が聞こえる。 「なぁ」 脈絡も無く僕は声を掛けられた。 「指を反対まで曲げられるって、お前?」 先程の会話を耳にするに、初対面也の記憶から、僕が見つかるだろうと予感はしていた。 「…」 僕は小さく首を横に振った。 曲がると言っても、手の甲に付く訳でも無い。 只、他人より多少、手が柔らかいと云うだけで、他人に見せるには躊躇が在った。 と云うのは、言い訳だ。 今迄から察せるように、僕は人見知りに分類されるので在ろう。 肉親や、一度交流を深めた友人としか、腹を割って話す事が出来ない。 だが、この学校で、恥ずかしがって要るという事も恥じて、親に伝えると云う選択肢は無かった。
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