河童は臆病者

序章

教室へ戻ると、注意事項などを聞くホームルームの時間へと切り替わった。

「はい」
「はい」
大きく相槌を打つ声が聞こえる。
最後列の端の席に座る長身の男子生徒は、低い声で入念に返事をする。
特に強制されて要る訳でも無く、自発的に前のめりに向き合う姿勢に、恐怖さえ覚え、怯えた。
はっきり言って、浮いていた。
皆、関わらない様に、居ない振りをして居た。
「はい、京本君ありがとうねぇ」
教師すら、困っている様に見えた。