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私は妻の言葉に励まされ、尼御台様の輿、時房らの馬の後をつけていく。その様子に気づいた時房は呆れながら私に言った。
「犬のくせにどこまでついてくる気なんだ、お前。遊びに行くんじゃないんだぞ。熊野も京も遠いんだ。一応、御所にはお前がついてきているという知らせを出したけどな。お前がいなくなって、今頃大騒ぎだぞ。連れをつけてやるから、鎌倉へ帰りなさい。」
そんな時房に対して、尼御台様は笑いながらおっしゃった。
「いいじゃないの。本来、行きたいところへ行くのが獣というものよ。飛梅の気がすむようにしてやりなさい。」
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