そうだ、売店に行こう!

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そうだ、売店に行こう!

中学二年生の時。 宝塚歌劇団の第一次ベルばらブームが起きた。 私は、それ以前から原作漫画が好きで (しかし自分で買うお金がないから友人から借りて読んだのだが)、物凄く話題になっていたので、軽い気持ちで初めて宝塚を見た。 もちろん中学生にお金がそれほどあるわけがなく、一番安いB席。2階の後部だ。 舞台なんで見て事がないから、もちろん オペラグラスなんて持っていない。 舞台に立っている人が豆粒ほど小さかった。それでも私は、たった一度観ただけで宝塚に夢中になった。 一般家庭には、ビデオもない時代。 N〇Kで放送があって、音声だけラジカセで録音して聞いた。 その頃、東京の劇場では毎月公演はしていなくて、結局観られたのは3回だけだったと思う。 それでも、ファンになると何か情報が欲しくなるものだ。古本屋で昔の宝塚グラフ(?)を眺めたり、図書館で探したり、関連の本を随分読んだ気がする。 その当時、山手線の内側に住んでいた。 有楽町まで20分で行ける。 私は、ある日の夕方突然 「そうだ、売店に行こう。」と思い立って、なんとサンダル履きのまま 有楽町に行った。 その頃は、“キャトルレーブ”なんて 洒落た名前ではなく、ただの狭い売店だった。 スターのブロマイドや関連本、LPレコードなどが売られていた。私は、それらを買うお金があるわけでもなく、 ただ、眺めるために行ったのだ。 当時はSNSがあるわけでもなく、 ファンの仲間は、中学の同級生数人。 とにかく情報に餓えていた。 それも、まもなく中学三年生になり、 受験のためにそれどころではなくなって、 宝塚はそれきりになった。 そして、高校生になっても、うっかり進学校に入ってしまったから、勉強と部活で手一杯で、宝塚に戻ることはなかった。 そして、40年が過ぎ『ポーの一族』の制作発表会のYouTubeを見て、突然宝塚熱が復活する。(しかし、それも明日海りおさんの退団であっさり終わった。) 今は、宝塚OGの七海ひろきさんに夢中…と言いたいところだが、病気で金欠なので、なるべく情報を追い掛けないようにしている。 (知れば観たくなる、欲しくなるetc) 近所の郵便局に行くだけで息が上がってしまう私。 時間はたっぷりあるけれど、お金と体力がない。 あの頃、たとえ上演していなくとも、 チケットがなくても、思い立てば、 「そうだ、劇場に行こう。」と行けた。 その頃は、“入り待ち”“出待ち”なんて言葉も知らなかった。 あんな近くに住んでいて、勿体なかったなとも思う。 でも、きっとこれで良かったのだ。 「思い込んだら一直線&全速力」の私だ。 あのまま突き進んでいたらどうなったことやら…。 今の私の目標は 「そうだ、宝塚大劇場へ行こう!」と 思い立ったら、行ける体力と経済力を復活させること。 だって、空港まで15分で行けるのだもの。 ベットの上で空想しつつ、まだ、諦めない。
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