10 【最終話】詐欺師ツヴァイ

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10 【最終話】詐欺師ツヴァイ

 王都で大貴族と国を相手にした元伯爵一家の詐欺騒ぎが誌面を飾らなくなった頃。  俺は拠点にしてたアパルトマンからそろそろ引き上げることに決めた。  ま、たいしたモンは置いてないから備え付けの家具から服を引っ張り出してカバンに詰めるだけだ。  食器なんかはろくすっぽ無かったし、布団なんか大家に多めに金払っといたら何も言わないから。  「結構中抜きされてたねぇ」  彼女の銀行口座に、この前のマリアだけじゃなくて、今までの依頼人の名前がズラリと並んで結構な額が振り込まれてた。  ま、彼女を完全に信用してた訳じゃね~しな。  商家の娘だから計算高いんだろね。  俺の顔見て寄って来る女なんか全然信用してねえからな。  今度から不細工に見える様なメイク術でも施すか。  あーでも一緒に風呂に入ったらバレちゃうか。  こう、なんつーか風呂で持ち上がる胸って支えるの楽しいしね。  色んなことを考えながら、王都の北にで~んと構えられたデカイ屋敷の裏手の門で衛兵に片手を上げて通り過ぎ、屋敷っつ〜か、勝手知ったる城の執務室へ進んだ。  「兄貴、ただいま」  「兄貴・・・ 庶民に慣れすぎだ」  「硬いこと言うなよ」  溜息をつかれちゃったね。いいんだけどさー。  「お前のお陰で俺の治世は助かってはいるが、どんどん所作が粗野になってないか?」  「気にすんな俺2番目(ツヴァイ)だからな、王位は関係ねえから。お気楽でいいでしょ?」  ソファーの上に胡座をかいてニンマリ笑う美青年。  「で? 次は。どこ行く?」 〜fin〜 金で買ったお飾りの妻  ~名前はツヴァイ 自称詐欺師~ 2023.8.20.sun by. hazuki.mikado 楽しく息抜き。…⁠ᘛ⁠⁐̤⁠ᕐ⁠ᐷ
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