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3 初夜
当然夜は初夜である。
『君を愛することはない』
何て事を言うはずもなく、貰えるものは何でも貰えの女好きの精神を発揮して初夜に挑もうとした公爵だったか何故か寝室には花嫁ではなく、妾になる予定の庶女がいた。
「何でお前が?」
「さあ? あなたが正妻みたいなモノだから初夜はお願いしますって言われたんだけど。嫌だったの?」
蠱惑的な肢体が透けて見える夜着に生唾を飲みこみ、まあ良いかと、深くは考えずにその晩はその女を一晩中抱いた。
次の夜は、お気に入りの遊女。
その次の夜は以前からつまみ食いをしていたメイド。
その次は離れに住まわせるつもりで口説いていた下位貴族出身の侍女。
次は遊び友達の未亡人――
一晩中女を自邸で心置きなく鳴かすことに夢中で執務も放りだし、蜜月を怠惰に過ごす公爵に流石の家令も執事も呆れたが、顔には出さず黙々と自分達の仕事を熟した。
そんな感じで気が付くと妻の顔を知らないまま1ヶ月の間、マリアとは全く違う女達を毎日日替わりで抱いていたが恋人が多い彼のことなので誰も不思議に思わない。
そもそもお飾りの妻なのだから、アッチもソッチも何も関わらず、マリアという名前だけが公爵家の名簿にあれば良いのだと誰も彼もが思っていたのである。
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