9 ざまあ?②

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9 ざまあ?②

 当然だが公爵閣下の、30を超える数の恋人達はそれぞれの爵位や身分に準じて罰を与えられた。  大貴族である公爵夫人を公然と侮辱した事になるからだ。  平民はムチ打ちの刑。  爵位のある家の娘は各家の当主の判断に任された。  殆どが修道院か後妻や第二夫人といった所だろう。  但し受け入れてくれる場所や相手さえ存在すれば、であるが。  公爵はマリアに対する虐待を疑われたが、当主が放置していただけで食事も予算も与えていた事が確認されて、1年間の謹慎。  その間王宮への参内も社交も禁止。  貴族としては致命的である。  大貴族なら己で進退を見極めよという陛下の判断でもある。  先代はひとり息子であった嫡男を当主の座から引き離し、甥に公爵家を継がせることに決めた。  元公爵は遠い領地で先代から派遣された見張り付きで、与えられた土地の代官として文官のように働く事になったが多分一生独身だろう。  白い花嫁衣装が死装束にしか見えなくなったらしいので。  召使い達はお咎めなし。  身分的にも主人の言うことは絶対だから従わないという訳にはいけないからだ。  但し家令と執事長は先代に連絡をすることも報告することも出来る権限があった為、降格となった。  塩梅(あんばい)が難しいのが貴族家の宮仕えである・・・・  『色狂いは死ぬまで治らぬ』とよく(ちまた)で言われるが今後の彼の待遇は見張りの報告次第だろう。  公爵家の先代は一気に老け込んだらしい。
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