バーチャルスクールへ行こう

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 何より社会科の授業が楽しかった。ある時はインターネットの地図サービスを使って世界の地理について学んだり、ある時はドラマや漫画を活用して歴史の流れを大観したり。パワーポイントとビデオ通話を使って発表活動をするといった授業も、生徒同士お互い顔を知らない世界だからか、気負いせずに参加することができた。  社会科の先生は柏谷(かしわや)先生という女の先生だった。地理も歴史も教え方がわかりやすくて、授業の中に色んな活動を取り入れているところに好感がもてた。そして、彼女は僕のクラスの担任の先生でもあった。  icoiでは、こちらも実際の中学校と同様、クラスという概念がある。学年が分かれているわけではないが、アルファベット順にクラスが振り分けられていて、僕はC組だった。そして、午前と午後に1回ずつ、HRの時間があった。参加は自由。全部で20人のクラスで、朝は人数が少ないのだが、午後のHRにはだいたい半分くらいの生徒が参加していた。  僕も、最初は気が向いた時にHRに参加する程度だった。だが、icoiという場所が好きになってからは、積極的にHRにも参加するようになっていった。  加えて、icoi で友達ができた。彼はリュウといった。何度か社会科の授業で一緒になって、ある日、同じクラスの生徒であるということがわかった。icoiでは、「しゃべり場」という場所があって、そこに行けば、その場にいる人たちとチャットやビデオ通話で交流することができる。  以前からリュウのことは気になっていた。名前の通り、ドラゴンの見た目をしたアバターを使っていて、面白い奴だと思っていた。また、社会科の授業で、豊富な知識をもとに発言する姿を何度も見かけていて、きっと歴史に詳しくて馬が合うんじゃないかな、という予感がしていた。しゃべり場で、たまたま彼を見かけた時に、勇気を振り絞って声をかけてみたところ、案の定、意気投合して仲良くなることができたのだ。
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