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「それでは、授業を始めます」
いよいよ、ディベートの日がやってきた。課題が提示されてから2日後の授業。僕はかなり下調べを行って、準備をしていた。
「はじめに、自分の選んだ発電方法を画面に映してください」
柏谷先生の号令のもと、画面がパラパラと切り替わり、皆それぞれ自分の立場を示していった。
僕は原子力発電を選択した。無論、ほとんどの生徒は火力発電を選んでいて、太陽光や地熱発電を選んでいる生徒もいたけれど、原子力発電を選んでいる生徒は僕だけだった。
「では、議論を始めましょう。まず、自分から発言したい人はいますか?いなければ、火力発電を選択した人から発言していきましょうか…」
今回は発言をしたい生徒がマイクをオンにして、順々に話していくという形をとっている。もちろん、発言したくない生徒は黙っていてもいいし、人前で喋るのが苦手な人はチャットでの発言も可だった。ディベートということもあって、参加者は15人ちょっとで、それほど多くはなかった。
「火力発電はエネルギー変換効率が高くて、安定的に発電できることがメリットだと思います。もちろん、他の発電方法に比べて、二酸化炭素の排出量は多いですが、液化天然ガスを利用することで二酸化炭素の排出量を抑えることができます」
ある生徒が発言をした。なかなか調べてきた様子が伺える。僕は一旦成り行きを見守ることにした。
「しかし、火力発電の化石燃料はいつか枯渇するんじゃないですか?また、日本は燃料のほとんどを輸入に頼っているので、国際情勢に影響されると、エネルギーが確保できない恐れがあると思います」
地熱発電の立場を選んでいたリュウが発言をした。なかなか鋭い意見だ。火力発電の立場にたつ生徒はぐうの音も出ない。リュウが発言を続ける。
「ですので、俺は再生可能エネルギーである地熱発電を推します。CO2排出の心配がなく、日本は火山大国ですから、安定した電力供給が期待できると思います」
その後も、反論や質問など、何人かの生徒が発言をした。太陽光や地熱発電などの、再生可能エネルギーがなんとなく優勢な流れになっていた。僕は頃合いを見計らって、ビデオ通話の挙手ボタンを押した。
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