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パンドラの記憶【パンドラの記憶】
深海の羽衣の物語は、これで終わりだ。わたしは、ソファで眠る娘のそばに座った。
「ねえ、ばあちゃん。わたしの羽衣は、ばあちゃんだったよ。ばあちゃんがいたから、生きてこられた。そして、この子が今の羽衣よ。」
娘の前髪をそっと整え、ちょっとだらしない寝顔のほっぺたを、そっとなでた。
「今日が命日だから、無理をして、書き上げたのね。本当に、しょうがない子なんだから。」
わたしは、カーテンの隙間から見える、秋の空に祖母の笑顔を重ねた。
ばあちゃん……。わたしの笑顔も、ばあちゃんみたいかな。
ねえ、ばあちゃん……。
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