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砂粒の数程あるみんなの不安が砂埃となって吹き荒れる先が見えない道
一際目立つ糸杉がゴッホの描く炎のようにゆらゆらめらめら揺れ動き
頭上に輝く星々がゴッホの描く星空のように渦巻き瞬く夜になり
不安という名の砂埃が入った砂時計を引っくり返せば
宵の口を閲して夕焼け空が血の色に染まる頃
ダンテの描く地獄の底から響くような心の叫びを耳にし
ムンクの叫びのように耳を塞ぐ
半狂乱に進む内に昼になり朝になり一つの扉が見えて来る
それはハマスホイの描くドアのよう
中に誰かいそうと思わせぶりに開いている
人はプラトンの言うように狂気になると神懸かり
その中へ託宣を得た人のように入ってしまう
突き当たりの階段を上がると踊り場に出て左手の階段を上がる
また踊り場に出て左手の階段を上がる
また踊り場に出て左手の階段を上がると元の位置に戻る
何度やっても同じ堂々巡り
まるでエッシャーの描く建築不可能な階段のよう
人工衛星みたいにぐるぐる回る内、相対性理論の数式が脳の中でメロディのように展開し
アインシュタインにインスパイアされたダリの描く時計みたいに時間が歪んで来る
その歪みにめり込んだらキリコの描く影みたいに左後ろに長い影を引きながらパラレルワールドを駆けていく
そうだ、このまま生まれ育った故郷へ行こう
ニーチェの言う原点回帰だ
遡る月日を芭蕉のように旅して時空を超え
1ミクロンの不安もない希望満々たる時間を取り戻しに故郷に帰り
赤子に返るのだ
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