なんでアイツの体に…?

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 ……………………  ………………………………  …………………………いやいやいやいやいや  ……え??  ………………なんで?  …なんでアイツの顔が??  パカパカ鏡を開け閉めする。  近くに寄ったり、遠くから見てみたり。  …どっからどう見てもアイツの顔だ。  祐輔の…………顔だ…………  額に包帯が巻かれてた。  首にはコルセット。  口元に、軽い擦り傷のようなものが…  ………………いや、そんなことはどうでもいいんだ。  …なんで、アイツの顔になってんの!?  …え、これ鏡だよね??  アイツの画像を見せられてるわけじゃないよね…??  パニックになる。  なにが起こってんのか全然わかんない。  事故があったんだよね…?  それで病院に運ばれて、ベットの上にいるってことだよね…??  そうだよね!?  「…そうだが」  祐輔のお父さんは、さっきよりもずっと困ってる。  それは母さんもだ。  私が質問するたびに、首を傾げてる。  傾げたいのはこっちだよ!  何が起こってんの!?  なんでアイツが、鏡の向こうに…?  体に触れてみる。  筋肉質な、体つき、  しっとりとした肌触り。  割れた腹筋が、指先に触れた。  首筋に沿って流れる鎖骨は、女性には無いしなやかさが、くっきりと浮き出ていた。  …嘘  ……嘘だ  自分の体を調べると、“私じゃないもの”が、そこら中にあった。  腕も足も、その他のパーツも…  どういうこと…!?  なんでアイツの体が!?  もう一度鏡を見る。  見たけど、変わらなかった。  アイツがそこにいた。  ちょっと大人びた、寝ぐせだらけのあの顔が。
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