9人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
無人島からクエリ
お願いがあるの
今ふたりでいるこの部屋が
無人島だと想像してみて
波が寄せて 砂を濡らす
飲むものも食べるものも
自分たちでどうにかしなくちゃ
ふたりを待っているのは
筏を作って海を渡るか
通りがかった船を待つか
ここで奇跡的に暮らしていくか
その三択しかない
あなたがそれを決める前に
心に留めておいてほしいこと
わたしにとって
この恋は
どこにでも
置いてこられる恋だった
どこにでも
置き忘れられる恋だった
でも生き延びるためには
協力しなくちゃいけないの
考えていたら
渇いて飢えちゃうから
即答がいいと思うな
私ね 最近とても変なの
なんだか
あなたが好きで仕方ない
あなたを求めて仕方ない
捧げられるものは少ないけど
心のすべてで
あなたと恋したいって思ってる
はい、あなたのターン
私のこと
どのくらい好き?
私のこと
どのくらい欲しい?
ここは無人島だよ
本音を言わなきゃ
生き延びられない
うん
え?
そか⋯
それが本音なんだ
それが本音だと
受け取っちゃうからね
波が寄せて 砂を濡らす
まるで祝福されてるみたいに
輝くこの世界
無人島なんだから
恥ずかしさはあるけど
抱きついてキスしてもいいかな
そう
この瞬間に
世界がふたりを認めて
微笑んでくれた気がしたよ
最初のコメントを投稿しよう!