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バートリーが一度息を大きく吸う。目を開けて、鈍く光っている瞳をシェイネに向けて、「今だから言えることだけど」と口にする。その言葉がどうも物々しく感じられたのか、シェイネは目を合わせた。こちらを見つめる橙色の瞳を認識して、言葉を続ける。
「私、あんたのお姉ちゃんなんだよね。」
「知っているよ。」
「…私の知っているルナは覚えていないの?」
「……覚えていない訳ではないと思うんだ。今でこそ君がルナと認識している人格とは意識が乖離しているような状態だけれど、私達のようなサブの人格の存在はつい最近顕現して来たもので。」
「…思い出したくない、ってこと?」
「約束でもないし確信を得ている訳でもないけど、きっと思い出すだろうと私は考えているよ。意見があまり合わない全ての人格が苦言を呈する様子がないから、皆そう思っているだろうね。」
計り知れない人格の世界のことを言われても、とバートリーは笑った。無邪気な笑い声にシェイネも釣られて笑みを浮かべた。
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