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「…ん?『十分ほど遅くして欲しい』…?大きなトラブルではないようだけど…ふむ…こちらから連絡を入れるのは野暮かもね?」
フォクセライがそう呟くとシレーナが声をかける。
「どうかされましたか。」
「いいえ?大したことじゃないよ。さぁさぁ、あなた達は早くシネスティマタのあのカフェにでも向かってしまいなさいな。」
フォクセライの催促にチュトが素直に従い、デュオを小脇に抱えながら部屋を出ていく。シレーナも然程気にしていないのか、一度深くお辞儀をして踵を返す。
足音が遠のくのを認識しながら、無線を取り出すと「そちらに向かったよ」とマイクに向かって言葉を発する。
その言葉を受信したマッティアは一度息を吐いて、カフェの奥まった場所からカウンターへと顔を出す。間もなく以前から打ち合わせを行なっていた三人の女性──チュトとデュオとシレーナの姿をその目に捉える。
「ありがとう、面倒をかけてしまったね。」
マッティアの言葉に各々が謙遜するような様子を見せる。そんな雰囲気を壊すように「やっとか」とよく通る声が聞こえた。
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