ザ・マスコット・ウォーズ!

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 彼らはお菓子であり、所謂人間の食べ物であるという点。毎日のようにキャラクターの誰かが人間に捕食されてしまうというダークな世界観となっているのだ。  場合によっては中途半端に喰われて残される。主人公のショコラが、腕が欠けた状態で歩いてるとなか、首無しでうろついているなんて当たり前。場合によっては“完食してもらえなかったぁぁぁ!ぼくなんて生きる価値ないんだぁぁぁ!”と皿の上でポテチの欠片たちが号泣していたりするのだ。  反面、食われることに恐怖し逃げ惑うキャラも少なくない。  そして最近見かけなかったキャラがいるなと思ったら人間に食われていて、久しぶりに登場したと思ったら転生していてこう言うのである。 『はーい、みんな久しぶり!三十五人目のキャンディちゃんは完璧に幸福でーす!前の私はうっかり人間に捕まって噛み砕かれるような愚か者でしたが、今度の私はそんなヘマは絶対しませーん!』  何やら、どっかで聞いたディストピアなゲームのキャラクターの台詞みたいになっている。  トドメが、“人気がなかったので発売中止になったお菓子”とかまでネタにし、みんなに惜しまれながら地平線の彼方へ消えていったりするのである。  はっきり言おう。扱ってるネタに、夢も希望もないではないか。子供達のためマスコットとして相応しからぬ売り方では?とまんたが思うのも当然ではある。ていうか、僕も正直思っている。  しかし、しかしだ。だからといって、いきなり殴り込んでいって殲滅しようという発想はさすがにマスコットキャラクターとしてどうなのだろう? 「わかった、わかったよまんた。君の言いたいことは理解した!」  僕は仕方なく、まんたに妥協案を提示したのだった。 「だからっていきなり戦争なんていうのは良くない。だって僕達は子供達に夢を与えるマスコットで、君はそれに誇りを持ってるんだろう?それを血で汚してどーするんだ!」 「けど、ルカ……」 「だから、話し合いで解決しよう。クッキーワールドの人たちに、さすがにマスコットとして相応しからぬ扱いやストーリー、設定を作るのはやめてくれと頼むんだ。僕も一緒に行くからさ、ね?」 「……ルカが、そう言うなら」  とりあえず、最大の危機は脱したようだとほっとする僕。  このまままんたを一人で行かせて、マスコットらしからぬ惨劇を引き起こすわけにはいかない。僕がなんとかして、クッキーワールドの彼らと穏便に話をつけなければ!
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