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「三日だけでも、ネロが帰ってこないの寂しい」
ここに欲しいのだと、腰が揺れている。
さっきまで恥ずかしくて恥ずかしくて泣きそうだったのに。
「あのさ、ほんとに、出ちゃうからヤメテ……」
体を起こしてキスを強請る。
「もう、いっちゃいそうなの……なんて言うのがうれしい?『ネロのを奥にちょうだい』?」
気持ちいい。体だけじゃなくて、ネロが愛おしいのが気持ちいい。
急にガッっと首の後ろに歯を立てられ、握り潰されそうな力で上半身を拘束される。
ネロに乱暴にされるのがちっとも怖くない。
刺さる程の勢いで子宮を突き上げられて、痛みも何もかも快感にかわる。
「んあっ、あっ、あっ、ヴィオ……俺のヴィオレッタ……」
切れ切れに名前を呼ばれて絶頂がやってくる。何度も収縮し一生懸命ネロを欲しがる膣奥にネロが命の素を吐き出す。
「すき。ヴィオ、だいすき」
子どものように抱きついて頭を擦り付け、ざりざりと私を舐め、グルーミングをはじめる。
私も頭がふわふわで、ぎゅっと黒い耳の頭を抱きしめる。
心臓がぎゅっとして、きゅんとして、ズキっとして……ひゃぁぁ。
もうだめだ。ネロは私をダメにする猫だ。
「……やばい、猫、可愛い」
*
猫がいる生活はたのしい。
猫を撫でながら本を読むのは足が痺れるが悪くない。
「ねえ? 私が死んじゃったらどうする?」
膝を枕にして寝転がるネロに訊ねる。
「えー、なにそれ。バカップルの質問じゃん。嫌なんだけど。
そうだなー、しばらく泣いたら、経験豊富なお姉さんのハーレムにでも入って、エロエロに暮らそうかな」
「なにそれ、ムカつく」
「えー、そんなの俺を置いてく主人が悪いの! 長生きして俺を見張ればいいじゃん」
不機嫌そうに尻尾を打ち付ける。
そうか。そうかも。
「じゃあさ、俺が死んだら、ご主人はどうする?」
「わからない」
泣くかな。
「そしたら、また猫を飼えばいいよ。俺は死んじゃってるからその後のことは知らないし。俺が開発しまくったご主人の体に若い猫獣人はメロメロだよね」
「……やけにあっさりしてるわね」
「死んだ俺がなんか出来るわけ? 俺は生きてるうちにたくさん愛するから、その後は誰かを可愛がってあげれば? 俺の生きてる間は全力で独占するけど、その後は別に分けやってもいいよ。ご主人面倒見がいいし、持ってる資源は有効に使わなきゃ」
……それってエロ資源?
「こんなにエロく誰に開発されたんだ? って、若い雄が嫉妬で泣くんだろ? ちょっと勃つわー」
身をくねらして妄想に浸る。
「発想がキモい」
ネロの性癖に追いつけないこともある。
いや、追いつけないことばかりだ。
「私、やっぱり犬より猫の方が好きかな」
ドライなわけではない、ネロの潔い愛がすきだ。
「もう一声!」
身を起こして誘うように、唇を一舐めされる。
「はいはい、ネロが好きよ。長生きしてね」
瞳孔がすっかり開ききったネロが、覆いかぶさってくる。
「よろこんでー!!」
「やだ、もー、なんか当たってる」
「当ててるんだよ!」
end
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